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NabeさんのDHPAをいじってみる

901のイコライザも大体設計が終わって、どうせならメインアンプもDAMPつくるか、と思っていたところなのですが、NabeさんのところのDAMPキットでも手に入れようかなと、見に行ったら、ちょっとおもしろいD級ヘッドホンアンプが載ってました。この回路はなかなかおもしろいので、ヤボを承知でちょっと解析してみました。

 現代的なD級アンプなのですが、そもそもD級アンプって直感的には動作することは理解できるのだけれど、音質どうこうは結構難しい気がします。最初は、CR回路が「なんちゃって積分回路」なΔΣの変形なのかと思って、いじってみたのですが、純粋な積分回路にすると動作しません  orz

  気を取り直して、D級動作のための発振部分について考えてみます。発信するかどうかは、(反転入力にフィードバックしているので)位相が180度遅れた時点で、増幅度が1以上あれば発信します。いわゆる開ループゲインの解析をしなければならないのですが、そもそも、「オペアンプを含む開ループ解析」ってどうやるんだっけ?

ググレカスで、ちゃんと回答がありました。

<http://www.geocities.jp/cxb00463/audio/AMP/spice/spice08.html

 

めんどくさいので、まあ、CRフィルタの定数から言って、2MHzあたりの減衰比は-29dB(1/28)になりますから、GB積が2×28=54MHz位あれば発振すると思います。Nabeさんの書かれているように、回路の趣旨から言って高速のオペアンプを使うべきですが、LTSpiceでのシミュレーションでは、LT1800(GB60MHz)でも、周波数はともかく発信はします。さすがに、741とかは無理でしょう。

 

で、回路としては、発振してしまっているのですが、それは置いておいて、可聴周波数域で考えてみます。ちょっと強引ですが、極端な場合として、DCでの動作を考えて、オペアンプの入力インピーダンスが十分に高いと考えれば、Cは無視できて、Rもショートしているのと同等で、回路としてはボルテージフォロワになり、ゲイン1の増幅回路ということになります。ただし、実際には数MHzで発信しているので、実際に可聴域の信号として取り出すには、後段のLCRのフィルタが必要ってことですね。例えて言えば、ヤジロベーがグラグラ動いているけど、全体としては入力電圧に合った形で傾いている、ということですね。スゲ~大雑把ですが、これが動作原理ということになります。

 

 そんなことをつらつら考えていて思いついたのですが、オリジナルの回路で、入力が0の場合を考えると、オペアンプの+入力はGNDに落ちていることになります。従って、下図のように入力を加える場所を変えてやると直流的には反転増幅回路になります。(注、サージアブソーバとかいろいろ省略しています)

 

20140915Fig1-1

Fig.1-1

 

 発振がちゃんと維持できるならばこれでも動作するはず。帰還回路の減衰比が変わりますので、GB積の要求はもう少し高くなります。で、LTSpiceでシミュレーションすると、ちゃんと反転増幅回路として動作するようですねー。

 

初段のオペアンプのー入力は、仮想接地を考えれば、ほぼ0Vになっているはずですから、この回路では必ずしもレール・トゥ・レール入力である必要はなくなります。

さらに、2つのオペアンプは、+入力は接地しているので、CMOSロジックICが使えんじゃね?と思えてきました。CMOSロジックをLTSpiceで使う方法は、以下のページあたりを参考にして、でっち上げてみます。

http://www.koka-in.org/~kensyu/handicraft/diary/20050609.html

 

 

20140915Fig1-2

Fig.1-2

 

これでも、シミュレーション上はちゃんと動作するようです!。R23/C21は、そのままだと発振周波数が高すぎて、シミュレーションに非常に時間がかかるのと、D級アンプは一般に発振周波数が高いほうが特性的に有利になるので、ある程度フェアに比較をするためにディレイ回路です。R1は出力のDCオフセットが大きすぎるので、修正するためです。

 1kKzの正弦波入力の時のLTSpiceFFT解析の結果を以下に示します。

 

20140915Fig1-3

Fig.1-3

 

緑のout1Nabeさんのオリジナルの回路(OpAmpLT1807+LT1807)で、赤がCMOSロジックICの回路です。2次の高調波が少し多いのと、7次以上の高調波が大きめですが、十分実用に耐えそうな気がします。2次の高調波は、聴感上はあまり気にならないはずですし…

 

さて、ここからは本当に蛇足です。 回路Fig.1-1の回路は、実は教科書的なΔΣアンプの積分器を「CRのみによるなんちゃって積分器」にしたものと同じになります。ちゃんとした積分回路にするには、コンデンサの接地点を一段目のオペアンプ出力に変更するだけです。回路にしてみます。

 

20140915Fig2-1

Fig.2-1

 

この場合、2段目のオペアンプの役割は単なるバッファではなく、量子化器になりますので、省略はできません。回路はNabeさんの回路に似てますが、発振の原理も異なります。発振周波数は、主に積分回路、量子化回路のディレイに依存します。

R1は出力のDCオフセットキャンセル用です。シミュレーションではちゃんと動作しますね。

更に、ローパスフィルターの後ろからも負帰還をかけてみたりして…発振の原理が異なるので、こんなこともできます。

 

20140915Fig2-2

Fig.2-2

 

本当は、可聴域とそれ以上で分けて負帰還をかける方がいいのかもしれませんが、とりあえずテキトー。

調子に乗って、積分回路に普通のCMOSロジックICにしてみましたが、さすがにうまくいかないみたいです。HCU04とかならシミュレーションではちゃんと動作するようですが、わたしの中ではあれは「ロジックIC」じゃないし…

2段目のオペアンプは、コンパレータとして動作しているのでCMOSロジックにしても問題ありません。

Fig1-3と同様にFFT解析をしてみます。

 

20140915Fig2-3

Fig.2-3

 

緑が、Nabeさんのオリジナル回路、青がFig2-1の回路、赤がFig2-2の回路です。

高調波歪は、かなり減りますね。作ってみる価値はあるかもしれません。

 

元々の、Nabeさんの回路の「面白さ」は理解しているつもりですが、こんなことちょっとして遊んでみました。Bose901のイコライザのリビルドが済んだら、作ってみようかな。

テーマ:オーディオ - ジャンル:趣味・実用

コメント

こちらのブログにコメントありがとうございます。
ちょっと変更すれば試せるのでFig-2.2の回路を早速作ってみました。

R17,R20=4.7K。C15=100p。U1=AD8028。U2=ADA4891-2。R2,R25なし。
音はきちんとなります。発振周波数が2.6MHz。
実は最近、D級HPAの改良型を色々検討してたのですが、
ちょっとこっちの回路ベースにしようかなと思ってしまいました。

もうちょっと色々試してみます^^

  • 2014/09/16(火) 02:42:21 |
  • URL |
  • nabe #-
  • [ 編集 ]

コメントありがとうございます

>ちょっと変更すれば試せるのでFig-2.2の回路を早速作ってみました。
興味を持って頂いてありがとうございます。そうなんです、「ちょっと変更」でできるのがミソでして…手隙になったら、Bispaの委託基板を入手して、「改造したよ~」って記事を書こうと思っていたのですが、先を越されてしまいました(笑)。

>音はきちんとなります。発振周波数が2.6MHz。
官能評価(音質)はいかがでしょう、Blogの方でもいいので是非お聞かせください。

>ちょっとこっちの回路ベースにしようかなと思ってしまいました。
どうぞ、どうぞ。私は短気っていうか、堪え性が無いので、オペアンプ変えたりとか、あんまりやらないので…

以下は、nabeさんに、っていうよりnabeさんのBlogからTBで来た人向けです。(nabeさんには言わずもがなでしょうから)
Fig2-2をベースに書きますが、R25を省略する場合(Fig2-1相当)は、R17=R20でゲイン1になります。R25を省略した場合はゲインは、基本的には、R20/R17になります。
Fig2-2で、R20=51KΩとしているのは、R20が入力インピーダンスそのものなので、nabeさんのオリジナルの4.7Kではちょっと小さく感じたからです。

R17,R20、C15による時定数は、U1の積分器の出力が飽和しない限りはかなり自由です。1桁程度の差は問題無いと思います。ただし、コンパレータ(U2)は一般的に、少し過大な入力にすることで加速することが多いので、音質的には最適値があると思います。

試行してませんが、U2のコンパレータに、軽くヒステリシスをもたせるのもありではないかと思います。本質的には、音質は悪化する方向に働くはずですが、積分器の出力がもともと、全体のループディレイでオーバーシュートしているので、なんとも言えません。少なくともチャンネルセパレーションの向上には意味がありそうに思います。

R2は、DCオフセットの緩和用です。少なくともシミュレーションでは、そこそこ出力にDCオフセットが乗りますので、なしのまま常用するのは、おすすめはしません(特に高価なヘッドフォンの場合)。使うオペアンプによって調整の必要があるかもしれません。

  • 2014/09/16(火) 21:22:44 |
  • URL |
  • B.O. #-
  • [ 編集 ]

音質ですか。発振周波数が高いのと、原理の違いからか、
CR位相遅延発振の方法よりも結構よく感じました。

しかしながら単3×2本駆動で定数が適当というせいもあると思うのですが、
特定の音で歪みやすいというD級独特の難点が目立ちました。
他の定数をそのまま積分コンデンサを470pまで緩和してみたけど
イマイチ解決せずという感じです。

この回路にあったオペアンプの組み合わせや定数の組み合わせで
解決するのかもしれないですけど、そこは突き詰めてません^^;;;

  • 2014/09/16(火) 23:49:41 |
  • URL |
  • nabe #-
  • [ 編集 ]

ナルホド

音質へのコメントありがとうございます。素性は悪くないかもしれないが、改良の余地は多いにあり、と解釈しました。(^_^;)
やはりオーディオは奥が深いですよね

  • 2014/09/17(水) 09:53:30 |
  • URL |
  • B.O #-
  • [ 編集 ]

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